ローコスト住宅


「ローコスト住宅」という言葉が最近聞かれます。

ただ、この言葉がひとり歩きして建築主を悪い方向に導いている気配も感じられます。「このような家を、このような仕様でつくりたい、ローコストで。」という装飾語的に使われている部分が少なからずあるのです。作りたいものが決まっていて、そのうえでローコストという言葉を付け加えると、一気に安く出来てしまうというふうに思われている節があります。建築家なら安く出来るという誤った枕詞で相談を受けたこともあります。

ローコスト住宅とはそのようなものではありません。

ひとつひとつ自分にとって必要かそうでないかを判断して、必要最小限の住宅をつくることです。生活スタイルをシンプルにすることです。逆をとれば、あるものは譲れないが、あとはこだわりはない程度の気概がなければ、ローコスト住宅などつくれないと思っていただいたほうが良いかもしれません。

小さい住宅だからといって、かける労力はかわりません。それは設計もそうですし、施工もそうです。まして建築主はもっと、さらには通常以上に大変だと思います。そこまでの覚悟の上でローコスト住宅に臨まれることを希望します。